―須坂缶に描かれた"龍"を受け継ぐ―
須坂高校「龍長」が語る伝統と挑戦
1967年から続く、須坂高校「りんどう祭」の巨大な龍制作。その伝統を受け継ぎ、2026年度の"龍長"を務める水澤さんに、今年の龍に込めた想いや制作へのこだわりを伺いました。
半年以上をかけて仲間たちと作り上げ、最後は後夜祭で空へ昇るように燃やされる龍。その儚さと情熱、そして須坂缶へと繋がる"龍"の物語に迫ります。
りんどう祭の龍制作とは......
須坂高校で夏に開催される「りんどう祭」では、毎年シンボルとなる巨大な龍を、生徒たちの手で一から制作します。
1967年から続く伝統で、設計から骨組み、鱗貼り、建立までを有志メンバーが担当。今年は84名の有志が集まり、龍長を中心に半年以上かけて制作が進められています。
龍長は制作全体を統括するリーダー的存在で、"龍をつくるために須坂高校へ入学した"という生徒もいるほど憧れの役職。完成した龍はりんどう祭初日に建立され、最終日の後夜祭で空へ昇るように燃やされます。
Profile
水澤さん
2024年須坂高校に入学し、1年生のころから龍制作に参加。
仲間に背中を押され、"龍長"へ
――今回は、りんどう祭の"龍"について聞いていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
――水澤さんは、2026年度のりんどう祭で制作される龍の制作チームを率いる「龍長」を務めているそうですね。まずは、龍長になったきっかけを教えてください。
僕の兄も須坂高校で龍の制作メンバーをやっていたので、僕自身も1年生のころから龍制作に携わっていたんです。ただ、その頃は自分が龍長になるなんて思ってもいませんでした。ですが、周りのみんなに背中を押してもらって、挑戦することになりました。
――周囲のみなさんからの後押しがあったのですね。その時はどう感じましたか。
龍制作の先輩方とはすごく仲が良くて、「龍長になるからには、ちゃんとしろよ!」と声をかけてもらいました。さらに、同級生のみんなからも「一番頼りになるから、君がやりなよ」と言ってもらえて。本当にたくさん推薦してもらえたので、「これはもうやるしかないな!」と思いました。
今年の龍、そのテーマと挑戦
――りんどう祭で毎年制作される龍ですが、どんな魅力や特徴があると思いますか。
りんどう祭の龍は、半年近くかけて制作する、とても大きな作品なんです。でも、展示されるのは文化祭の数日間だけで、最後は後夜祭で、設計図も含めてすべて燃やしてしまいます。
長い時間をかけて作り上げたものが、一瞬でなくなってしまう。その儚さこそが、龍制作ならではの魅力であり、特徴だと思います。
――その"儚さ"も含めて、りんどう祭の龍が長年受け継がれてきた理由なのかもしれませんね。今年の龍には、どのようなテーマがあるのでしょうか。
毎年、四字熟語をベースに、一文字だけ"龍"に変えてテーマを決めています。今年は、光が入り乱れ、色鮮やかでまばゆいほど美しく輝く様子を表す「光彩陸離(こうさいりくり)」という四字熟語の"離"を"龍"に変えて、「光彩陸龍」というテーマにしました。
このテーマにしたのは、メンバー一人ひとりの個性を、色鮮やかに輝かせたいという想いがあったからです。
テーマの案はみんなで出し合って、僕自身もいろいろ考えたのですが、副龍長が提案した「光彩陸龍」が、みんなの中で「これだ!」としっくりきたんです。
――メンバーそれぞれの個性が集まって、一つの龍になっていく。その想いが「光彩陸龍」という言葉に表れているのですね。毎年、龍の色も変わるそうですが、今年のカラーはもう決まっているのでしょうか。
色は文化祭でのお披露目になるので、まだ秘密です(笑)。カラーは龍制作メンバーみんなで話し合って決めました。
今年は"チャレンジ精神"をテーマに取り組んでいるので、これまでにないカラーになっていると思います。ぜひ楽しみにしていてください。
――今年ならではの龍になるのですね。お披露目が今から楽しみです。一番のこだわりポイントを教えていただけますか。
龍全体というより、僕が担当している"首"部分のこだわりになるのですが、頭と首の接合部分は、龍がしっかり下を覗き込むような角度になるよう意識しています。
龍は、ほとんどの方が下から見上げることになるんですね。だからこそ、下から見たときに龍の顔がしっかり見えて、迫力を感じてもらえるような造形にこだわっています。
――それは難しい作業なのでしょうか。
そうですね。頭と首を繋ぐ部分は、かなり角度をつけているので、構造的にも難しいんです。木材にビスを打って補強はしているのですが、重心が安定しなかったりして......。「これ、本当に大丈夫かな」と不安になることもあります。今一番苦労している部分ですね。
――そこまで細かく構造を考えながら制作していることにも驚きましたし、それをすべて高校生だけで作り上げているというのが本当にすごいですね。
毎年、龍制作では何か新しいことにチャレンジしたいという想いがあるんです。実は、この"下を見下ろす首"も、僕が去年首パートを担当していた頃、当時のパート長の先輩が「やってみたい」と話していました。その時も設計まではしていたのですが、構造的に難しくて、結局実現できないまま終わってしまったんです。
だからこそ、「今年こそ形にしたい」という想いがあって、最初の設計段階からいろいろ試行錯誤しながら進めています。
――首のパート長が、今年の龍を見たらきっと喜ぶんじゃないですか。
もし先輩がきてくれたら「やってやりましたよ!」って言いたいですね(笑)。
――全員をまとめる役割を果たす龍長ですが、"龍長"として苦労していることはありますか。
大きな苦労はそこまでないんですよね。もちろん、自分ではまだまだ頼りないなと思うこともあるんですが、周りのみんなが本当に協力してくれていて。支えてもらっているなと感じています。
――最高のメンバーですね。あと少しでりんどう祭当日になりますが、意気込みはいかがでしょうか。
絶対完成させるぞ、という気持ちで毎日制作しておりますので、ここからやり切ります!
須坂缶に描かれた、須坂高校の龍
――りんどう祭の龍が描かれている須坂缶ですが、その存在を知ったのはいつ頃だったのでしょうか。
イオンモール須坂に八幡屋礒五郎の店舗ができたことは知っていたんです。でも、須坂缶が発売されていたことは知らなくて。学校の廊下に大きな須坂缶が飾られているのを見て、「こんな缶があるんだ!」と初めて知りました。
――それを見たとき、どう思いましたか。
「あれ!? 須坂高校の龍みたいなのが描いてある!」と思いました。でも、このインタビューのお話をいただくまでは、普通に"おとぎ話の龍"なのかなと思っていたんですよね(笑)。
その後、先生方からインタビューのお話を聞いた時に、「昔、龍長を務めた方が八幡屋礒五郎で役員をされている」と教えていただいて。「やっぱり須坂高校の龍だったんだ!」と確信が持てて、すごく嬉しかったです。
――自分たちが受け継いでいる龍が、学校の外でも大切にされていると知ると、より特別な存在に感じますね。他の制作メンバーのみなさんは、どんな反応でしたか。
「すごい!」という感じで、みんなの間でも話題になりました。気になって、八幡屋礒五郎の役員の方が龍長を務めていた当時の龍も調べてみたんです。そしたら、その龍が本当にかっこよくて。デザインや迫力もすごくて、「これは缶にしたくなるな」と思いましたね。
――過去の龍を知ることで、今年の龍にもさらに想いが入っていきそうですね。今年のりんどう祭では、須坂高校の校章が入った特別な「須坂缶」も販売していただけそうですね。来場される方には、この須坂缶のどんなところに注目してほしいですか。
個人的な印象ではあるのですが、須坂って、まだ観光地として広く知られているイメージがあまりないんです。でも、龍の伝説はもちろん、蔵の町並みや桜など、魅力的な場所がたくさんあります。そういった須坂ならではの魅力を、この須坂缶を通して知ってもらえたら嬉しいですね。
あとは、ぜひこの須坂缶と、今年のりんどう祭の龍を一緒に写真に撮って、記念に残してもらえたら嬉しいです。
――最後に、りんどう祭に来場される方へメッセージをお願いします。
今年の龍は、これまでにないチャレンジや新しい試みをたくさん取り入れているので、細かな部分までぜひ注目して見てもらえたら嬉しいです。
半年近くかけて、みんなで何度も話し合いながら、一生懸命制作してきました。僕たちの想いや、須坂高校に受け継がれてきた"龍"の伝統を、実際に会場で感じてもらえたらと思っています。
また、須坂には龍の伝説や蔵の町並みなど、たくさんの魅力があります。今年のりんどう祭や須坂缶をきっかけに、もっと須坂のことを知っていただけたら嬉しいです。
多くの方のご来場をお待ちしております。
――仲間たちと受け継いできた想いが詰まった、今年の龍。お披露目の日がますます楽しみになりました。本日はありがとうございました。
取材・文/八幡屋礒五郎 広報編集部
イベント概要
第72回 りんどう祭
| 日時 | 一般公開 7月4日(土)12:00~17:00 7月5日(日)10:00~15:00 |
| 場所 | 長野県須坂高等学校 |
| 〒382-0911 長野県須坂市大字須坂1518-2 Googleマップで見る |
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